過剰なコンプレックスを持ち過ぎない
頭髪は、ないよりはあった方がかっこよく・若々しく見える?
それは多くの人にとって事実なのかもしれません。一方で、坊主やスキンヘッドがよく似合う方もいらっしゃるのも事実です。
しかし時々、髪が薄いことをまるでこの世の終わりのようにとらえて悩んでしまう方がいます。
「他人からハゲと思われていると思うとプライドがズタズタ」
「薄毛になった自分の姿が醜くて耐えられない」
「ハゲるくらいなら死んだ方がマシ」
気持ちは分からないでもないです。今まであったものを失うというのはつらいことです。40代50代くらいで薄毛でもそれほどおかしくない年齢ならばともかく、20代30代で薄くなってしまっては周囲の目もひとしお気になるでしょう。
けれども気にしすぎることで、自分も周囲の人も誰も幸せにはなりません。
せいぜいその過剰なコンプレックスにつけこんで高額なカツラや育毛サービスを売り込む企業が幸せになるくらいです。コンプレックスが大きすぎると、前項で書いた詐欺師の手法「不安にさせるようなことを言う」がてきめんに心に響いてしまうのです。客観的な判断ができずに相手のいうことを素直に聞いてしまうようなことにもなりかねません。
「困った」と思い込んでいることが、よくよく客観的に考えてみるとそんなに困ったことではない――そんなことが人生には沢山あります。
「頭髪がないくらいで、それがどうした?」
そういう開き直った気持ちを持った方が人生を幸せに生きられると思うのですが、「自信を持て」「気にしすぎるな」と言うだけでその通りにできるのだったら誰も苦労はしないでしょう。
なぜ自分に自信が持てないのか――そこに合理的・客観的な理由はそんなに関係がありません。色々思いつく理由は大体後付けで、まず最初に「自分に自信がない」という心理が存在するのではないでしょうか。完璧な人間なんていませんから、自分のダメなところを探し出せばキリがありません。みんな何かしらのコンプレックスを持ちながら、それと上手くつき合って生きているのです。
どうして自分の嫌な面ばかり見えて自信を喪失するのか……それは突き詰めると
「自分のことが許せない」
ということになる気がします。自分の欠点を許せないから、「まぁいっか」と流すことができずに深刻になってしまう。
自分を許せなくて自分に自信がなくなっている人が自信を回復するためには、自分を許せるようになることが第一段階です。そのためには「自己暗示」を利用すると良いでしょう。
自分を許して、自分をコンプレックスから解放して
「許します」という言葉を1日10回でも100回でも、好きなくらい唱えてみて下さい。何カ月か続けると少しずつ心が変わってくるかも知れません。もし何も変わらなくても、少なくとも「許します」と言うことでお金が減るということはありませんから、試すだけ試してみても損はないでしょう。
ごくたまに「どうしても『許します』という言葉を発音したくない」という方がいるようです。その時は「自分を許す」というつもりで言わなくていいです。尊敬する人や好きな人が、待ち合わせ時間に5分遅れて来て「遅れちゃった、許してくれる?」と言われた。そんなシチュエーションを想像して、その人を許すつもりで「許します」と言ってみて下さい。
カツラをつけるにしても、周囲に隠さずコンプレックスを持ちすぎない態度で「どう? かっこよくなったでしょ?」と明るく言えるようでないと、カツラをつけることでかえって「皆をだましてるみたいで気が引ける」「バレたらどうしよう」などと新たな悩みを抱えることになってしまう可能性だってあります。
また自分に自信のない人というのは自分の選択にも自信が持てませんから、カツラを注文した後で「本当にこれで良かったのだろうか」「やっぱりこれは不自然なのではないか」と思い悩んで、結局お金を無駄にしてしまうことにつながりかねません。