フィナステリドの働き
サプリメントの成分を色々見たときに、「この成分って、育毛だけじゃなく色々体にいいのでは?」という成分が色々入っています。各成分がどう育毛に関わるのかそれなりの研究はされていますが、簡単に言うとどの成分も「色々体にいい」という事が巡り巡って「髪をリストラする必要のない体を作る」と考えて下さい。
ただしノコギリヤシに含まれている成分の「フィナステリド」については、医薬品として認可されるほど効果が証明されているものですので、フィナステリドの作用について説明したいと思います。リンクの育毛剤の成分の豆知識をご覧下さい。
分かりやすく言えば、フィナステリドは「5α-還元酵素(リダクターゼ)を働かせないようにする」働きがあります。
脱毛を促進させるタンパク質とは?
詳しく説明すると→→「男性型脱毛症(AGA)」という脱毛症の種類があり、これは男性ホルモンが原因の脱毛症で、名前の通り男性に起こりやすいものです。
「テストステロン」という男性ホルモンは「5α-還元酵素(リダクターゼ)」という酵素によって「ジヒドロテストステロン(DHT)」という物質に変わります。この5α-還元酵素は前頭部と頭頂部、つまり髪が薄くなりやすい部分に多く存在します。
このDHTが毛乳頭細胞の核内に入り、X染色体上にある男性ホルモンの受容体に結合します。この結合によって「たんぱく質を作れ」という指令が出ます。すると遺伝子DNA(たんぱく質の設計図集)の二重らせんの鎖が一部ほどけ、あるたんぱく質の設計図の部分を「mRNA」という物質にコピーさせて、「tRNA」という物質が設計図に基づいたたんぱく質の材料(アミノ酸)を持ってきます。
その設計図と材料に基づいて、細胞内の「リボゾーム」という部分がたんぱく質を合成します。出来上がったたんぱく質はリボゾームから小胞体に受け渡され、小胞体がたんぱく質を細胞内の各部分に送り出します。
この時できるたんぱく質が、脱毛を促進させるたんぱく質(TGF-β)です。
脱毛たんぱく質が作られる3つの条件
- 男性ホルモン「テストステロン」がある。
- 5α-還元酵素(リダクターゼ)がある。
- テストステロンと5α-還元酵素により作られたジヒドロテストステロン(DHT)が、毛乳頭細胞の中に入り受容体に結合する。
この3つの条件がそろって初めて、男性型脱毛症になります。
フィナステリドは5α-還元酵素(リダクターゼ)を働かせないようにするので、このうち(2)の条件をなくしてしまうという作用です。
男性に比べ女性の髪が薄くなりにくいのは男性ホルモンのテストステロンが少ないからで、(1)の条件がないからです。
人によって脱毛の度合いに差があるのは、受容体にDHTが結合しやすいかどうか(感受性が強いかどうか)が人によって違うからで、(3)の条件が違うからです。
DHTもテストステロンも同じ受容体に結合しますが、DHTが結合した時とテストステロンが結合した時では作られるたんぱく質が変わってきます。
DHTが受容体に結合しやすいかどうかは、PHや温度や各物質の濃度、受容体の遺伝子などが関わって決まると言われます。つまり相当複雑なのです。
説明が詳細で複雑になりましたので、よく分からない方は理解できなくても当然です。
ただ、ここで覚えておいて頂きたいのは、ジヒドロテストステロン(DHT)が原因でない脱毛の場合、フィナステリドは効果がないだろうということです。