日焼け止めの数字は「時間」〜SPFとは紫外線B波を防御する指標〜
日焼け止めの容器を見ると「35」や「50」など数字が書かれているのは、ほとんどの人が気づいていると思います。「数字が大きければ大きいほど良い」とついつい思ってしまいますが一概にそうとも言えません。
日焼け止めの容器に書いてある数字の前には必ず「SPF」というアルファベットが書かれています。これは「サンプロテクションファクター(Sun Protection Factor)」、日本語で言えば「紫外線防御指数」という意味です。
この「SPF数字」という表記は「紫外線B波を何倍防げるか」という指標です。SPF20の日焼け止めを塗っていれば、20倍の量の紫外線B波を浴びても、何も塗っていない時に1倍の紫外線B波を浴びた時と同じ程度の日焼けしかしないという意味です。
紫外線を浴びる時間が長ければ長いほど受ける紫外線量は増えますから、SPFは「時間」と考えると分かりやすいです。SPFの数字が1上がれば紫外線B波は約15~20分長く防げると考えて下さい。
実際には汗・皮脂・摩擦などで日焼け止めが落ちてしまう上、季節や天気によって紫外線量が変わってくるのでそう単純ではなく、あくまで目安です。
日本の基準では、表示できるSPFの数字は「50」が最高となっています。50を超える製品の場合は「50+」と、プラスの記号をつけて表記されます。51以上の表記がない理由は、先ほどの「SPFの数字が1上がれば紫外線B波は約15~20分長く防げる」という目安を思い出してみれば分かってきます。15分×50=12時間半 となり、SPFは50もあれば一日の中で太陽の出ている時間をほぼカバーできてしまうことになるからです。
カンカン照りの日中ずっと外に出ていて塗り直しもしにくいという場合は、SPF50を選ぶと良いでしょう。しかし朝の通勤時や日中の移動時のみ日光に当たるという場合は、SPF値の低い日焼け止めを選んで途中で塗り直しする方が皮膚への負担も少なく効果的に紫外線B波を防止できます。
毛根を守るなら「PA」に注目――紫外線A波の防御
数字の陰に隠れて印象が薄いかも知れませんが、紫外線を防止する強さの表記はSPF以外にもう一種類あります。
「PA」という指標です。「プロテクション・グレード・オブ・UV-A(Protection grade of UVA)」の頭文字で、「紫外線A波の防御指数」ということになります。この強さは「+(プラス)」の数で表し、最低が「PA+」、最高が「PA++++(フォープラス)」です。最高表記は2013年1月から変わり、+が4つが最高になりました。2013年1月より前に買った日焼け止めの場合、PA+++(スリープラス)が最高です。
地表に届く紫外線のほとんどがA波であり、曇りの日でも屋内の窓際でも届き、油断すると気づかないうちに浴びているA波。しかも皮膚の奥深く、毛根のある真皮まで届いてじわりじわりと破壊していきます。育毛を気にする方にとって長年の積み重ねが怖いのはA波の方であると言えるでしょう。
日焼け止め成分の種類 「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」
日焼け止めの成分には大きく分けて2種類あります。「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」です。紫外線吸収剤には「メトキシケイヒ酸オクチル」「ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル」などが、紫外線散乱剤には「酸化亜鉛」「酸化チタン」などが使われています。
日焼け止めのパッケージをよく見ると、「紫外線吸収剤不使用(ノンケミカル)」と書いてあるものが結構あります。これは紫外線散乱剤だけで紫外線を防止する製品であるという意味です。大抵こう書いてある製品には「敏感肌用」や「マイルド」などと書かれています。紫外線吸収剤の方が紫外線散乱剤よりも高いSPF/PA値を出しやすいのですが、肌への負担が大きいのです。
頭皮や髪への使用なら紫外線吸収剤
しかし頭皮への使用、特に髪の毛に付着する可能性があるなら紫外線吸収剤が現実的になります。紫外線散乱剤である酸化亜鉛や酸化チタンは、白くなってしまうのです。皮膚ならば多少白くなっても大丈夫ですが、髪に白い粉がついてしまうとなると見た目にも悪いので、頭皮や髪に使用するには不向きと言えそうです。