育毛に良い成分は様々あります。効果効能の表示を認められている医薬品・医薬部外品だけでも何十種類もあり、「一体どれがいいの?」と迷ってしまう方は多いでしょう。植物エキスを102種類も配合しているような育毛トニックもあったりしますが、「多ければいいというものなのか?」と疑問に思う方もおられるのではないでしょうか。
育毛に効くとされる成分は色々とありますが、よく観察してみるとそれらの多くは、『頭皮を健やかに保つ』という大きな目的のために配合されているのだということが分かってきます。例えば、血液の流れを良くしたり、菌に感染しないように殺菌するようなものです。
しかし中には、『頭皮を健やかに保つ』のとは少し違った目的を持つ医薬品の成分があります。「フィナステリド」という成分の薬と、「ミノキシジル」という成分の薬、そして「女性ホルモン」成分の薬です。
フィナステリドは、脱毛に作用する「DHT(ジヒドロテストステロン・男性ホルモンの一種)」というホルモンの生成を抑える薬です。女性ホルモン成分も同じような効果を期待して配合されています。
ミノキシジルは、もともと内服で高血圧の薬として開発された、血管を広げる作用を持った成分です。内服による副作用の危険性が大きいため現在は高血圧の薬としては使われていません。内服せずに皮膚につけても、血管を広げて血流を良くする効果があります。それだけであれば『頭皮を健やかに保つ』という成分と変わりありません。しかし、ミノキシジルの他の作用として、表皮細胞の増殖を促したり、髪の毛を伸ばす働きのある「プロスタグランジンE2」が毛乳頭細胞内で作られるのを助けるという説があります。
「フィナステリドはお医者さんで処方してもらう必要のある薬」で、「ミノキシジルは薬剤師のいる薬店でしか買えない薬」、「女性ホルモン成分の外用薬は薬剤師のいない薬店・ドラッグストアでも買うことができます」(薬剤師がいない場合、「登録販売者」という薬の知識を持った資格者がいます)。
『頭皮を健やかに保つ』ことで発毛環境を整えようとする成分に比べ、これら医薬品の「フィナステリド」「ミノキシジル」は効果が直接的で早く結果が見えます。けれどもあくまで薬の力で一時的にDHT(ジヒドロテストステロン)を抑制したり、血行を促進したりできるようになっただけです。薬に頼らなくてもDHTをコントロールできる体に改善したり、血流が良い体に改善できるわけではありません。
AGA(男性型脱毛症)の2大治療薬「フィナステリド」「ミノキシジル」詳細
「フィナステリド」は「プロペシア(商品名)」として、「ミノキシジル」は「リアップ(商品名)」という名前で有名です。どちらも元々はAGA治療とは全く違う治療薬として開発されましたが、1990年台に偶然にもAGA治療に有効な成分が発見され、広く使われるようになりました。それぞれの薬について詳しく解説します。
■【フィナステリド】について
【フィナステリド】
◉前立腺肥大の治療薬として使用されていた過程で、抜け毛の進行をストップさせる事が発見されました。悪玉男性ホルモン「ジヒドロテストステロン」の働きを抑え、脱毛の進行を抑制します。⇒ディフェンス(守り)的な役割
【フィナステリドの副作用】
◉主な症状としては、リビドー減退(性欲減退)、勃起機能不全などが挙げられますが、全体の2%未満という数値です。その他には食欲不振、全身倦怠感(肝機能障害)、ニキビなど。国内での臨床実験では4%程度の患者に副作用があるという結果もあります。(100人中4人に何らかの副作用)
【フィナステリド服用時の注意事項】
◉決められた容量を必ず守って、決まった時間帯に服用する。
◉成人男性のみ服用する(女性には効果が認められていない)。
妊婦、妊娠の可能性がある女性、授乳中の女性は服用しないこと。妊娠中に本剤を服用すると男子胎児の生殖器官などの正常発育に影響を及ぼす可能性がある。
◉錠剤・カプセルを割って飲まない。
妊娠中の女性が服用したり、割れた錠剤に触れて有効成分が吸収されると、男子胎児の生殖器官などの正常発育に影響を及ぼす可能性がある。本剤は通常の扱いで有効成分に触れないようコーティングされているので割らずに服用する。
◉肝機能障害のある方は、フィナステリド服用により肝臓酵素が上昇する場合もあるので、医師に相談する。
◉家族や他の人にあげないこと。
【フィナステリドその他補足】
◉前立腺がん検査の予定がある方は、本剤を服用していることを知らせましょう。フィナステリドは血液検査のPSA数値を50%低下させるようなので、測定後の数値を2倍した数値が本来の数値であると考えましょう。
海外から個人輸入で「フィナステリド錠」を取り寄せている方も多いようですが、専門的な血液検査なしに自己判断でこれらの医薬品を服用するのは危険です。
上記でも触れた前立腺がん検査で測定される「PSA値」ですが、フィナステリドを服用すると数値が50%低下します。すなわち実際の数値は、測定したPSA数値を2倍にする必要があります。
この数値の見極めを誤ると、前立腺がんの早期発見を逃してしまう、、なんてことになり兼ねません。
また、世界保健機構(WHO)が明らかにした情報の中に、ネット上で処方箋なしで販売される医薬品の半分は「ニセ物」だという調査結果があるようです。「ニセ薬?かもしれない薬で生えるかどうか、、」「副作用は大丈夫か、、」とダブルの不安を抱えるよりも、専門医のもとで安全な服用をすれば治療に専念できるでしょう。
副作用のあらわれ方には個人差があり、全く現れない人もいれば、そんなところに!?という方もいるので、何か気になることがあれば担当医師に相談しましょう。AGA治療に関して経験豊富な先生に診てもらうほうが、きっとストレスなく治療に臨めるはずです。
■【ミノキシジル】について
【ミノキシジル】
◉もともとは高血圧の治療薬(血圧降下剤)として開発されましたが、その副作用で頭頂部や生え際の発毛に効果があることがわかりました。それ以降は育毛目的で広く知られるようになり、外用・内服薬として使用されています。⇒オフェンス(攻め)的な役割
【ミノキシジルの副作用】
◉一時的に体毛全体(部位に個人差あり)が濃くなることがあります。軽度の心拍数上昇、身体のむくみなどが見られることがあります。まれに低血圧症状(動悸・頭痛・倦怠感)が出る場合もあるので、そのような症状が出た場合は、必ず医師に相談しましょう。
【ミノキシジル服用時の注意事項】
◉決められた容量を必ず守って、決まった時間帯に服用する。
◉錠剤は割って飲まないでください。
◉ミノキシジルに対するアレルギーがある場合は服用できません。
◉心臓や腎臓、肝機能に障害がある場合、人工透析を受けている場合は服用できません。
◉未成年者・妊娠中・授乳中の女性は服用できません。
◉家族や他の人にあげないこと。
【ミノキシジルその他】
◉高齢・高血圧/低血圧の方や狭心症や最近狭心症になったばかりの方は使用できない場合があります。
◉他の病気などで薬を処方されている場合は、全ての服用薬を医師に伝えて下さい。
「フィナステリド」や「ミノキシジル」などの医薬品の使用については、髪だけでなく「全身」への影響を管理しながら服用を進める必要があります。薄毛の進行度合い・部位・性別に合わせた処方で安心できるAGAクリニック治療を選びましょう。